FreeDOS(98)
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FreeDOS(98)はMS-DOS互換のオペレーティングシステムであるFreeDOSをNEC PC-9801/9821シリーズ向けに移植したものです。

本家公式サイト http://www.freedos.org/

PC-98用FreeDOSのカーネル、一部のメモリ関連ドライバ、COMMAND.COMの移植では、かつてSilphire氏たちやsuzu氏、tori氏が行った作業を継承し、PC-98用MS-DOSとの互換性向上を目的とした修正や機能追加をほどこしています。
本家FreeDOSのディストリビューションに含まれる多数のアプリケーション(外部コマンド)は、現在のところごく一部を除きほとんど移植されていません(ほとんどのアプリやドライバはIBMPCの固有機能に依存した実装になっており、そのままではPC-98シリーズで正常に動作しません)。


最新のディスクイメージは以下の場所で配布しています。

http://bauxite.sakura.ne.jp/software/dos/freedos.htm
https://github.com/lpproj/fdkernel/releases

以前に行われていた(そして他の人たちが配布しているHDイメージに入っている)FreeDOS(98)からの更新点は、大まかに書くと以下のようになります。

FreeDOS(98)カーネル(kernel.sys):

* 3モードFDD(2DD/2HD/1.44M)対応
* MS-DOS 3.3の2048バイト論理セクタ領域、5.0以上のFAT16領域サポート
 (これは2006年時点のパッチで対応済)
* SCSIハードディスクサポート(MO起動は現時点で未対応)
* 物理セクタ256バイトのハードディスクサポート
 (DOS 2.11互換の「基本フォーマット」形式のディスクは未対応)
* 日本語ファイル名サポート。正しくオープン、作成できるようになった
* FreeDOSカーネル自体のバージョンアップ
 (DOS 5.0→6.2x相当。機種非依存部分のバグがいくつか修正された)
* NEC版MS-DOSとの互換性向上
 FD(出射氏制作の有名なファイラー)、一太郎などが動くようになった

FreeCOM(command.com):

* 本家最新版相当にバージョンアップ(v0.84pre6)
* 日本語(シフトJIS)編集対応
* 行入力時の表示ズレ軽減


システム要件・推奨環境
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FreeDOS(98)の動作に必須となる環境は以下の通りです。

* NEC PC-9801シリーズおよびその互換機
(ハイレゾモード、PC-98LT、PC-98HAは未対応)
* 256Kバイト以上の基本メモリ
* 2DD(640K)もしくは2HD(1M)のフロッピーディスクドライブ、SASI、SCSI、IDE接続のハードディスクのうち、いずれか1基以上(PC-9801初代/E/F/Mの2D(320KFD)は未対応)

(PC-9801初代のHDインターフェースには対応していない可能性がありますが、未確認です…)

推奨環境は以下のようになります。

* 80286以上のCPUを持つPC-9801シリーズおよびその互換機(i386以上を推奨)
* 640Kバイト以上のメモリ(1.6Mバイト以上を強く推奨)
* SASI、SCSI、IDE接続のハードディスク

1Mバイト超のメモリが存在しない場合、FreeCOMがXMSを使ったメモリスワップを利用できないため、基本メモリの空き容量が少なくなるかもしれません。
(ディスクイメージに入っているMEMコマンドで、空きメモリ容量が確認できます)


フロッピーディスクイメージの起動
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ディスクイメージはPC-98エミュレータ(Anex86、T98Next、np2系)での利用を想定したものとなっています。ディスクイメージをエミュレータのFDDに設定し、リセットすればFreeDOSが起動するはずです。

8086/V30ベースのエミュレータや実機で起動する場合、XMSドライバ(FDXMS286.SYS)のインストールに失敗し、起動に支障が生じる可能性があります。以下の方法で対処してください。

1. 事前にイメージ内のFDCONFIG.SYSを編集する(DEVICE=FDXMS286.SYSの行を削除するか、先頭に REM をつける)
2. ブート直後、"Press F8 to Trace or F5 to skip CONFIG.SYS/AUTOEXEC.BAT"のメッセージが画面に出ている間(猶予2〜3秒)にF5キーかF8キーを押す。F5キーを押した場合は(FD)CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATをまったく使わない素の設定で起動する。F8キーを押した場合は設定を個別に使うか使わないか確認できる。
3. SHIFTキーを押しながら起動する。2. でF5キーを押したときと同じ動作。


ハードディスクイメージの起動
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ディスクイメージはPC-98エミュレータ(Anex86、T98Next、np2系)での利用を想定したものとなっています。
各エミュレータの先頭HD(Anex86ではHDD1、T98NextではHD DRIVEの1、np2系ではSASI #0もしくはIDE #0)にディスクイメージを設定し、フロッピーディスクのイメージをすべてイジェクトしてからエミュレータをリセットすれば、FreeDOS(98) のブートメニューが起動するはずです。

ブートメニューでは、メニューに対応する数字キー(0から4まで)を押すか、カーソルキーで選択項目を移動し、リターン(Enter)キーを押すと所定の設定でDOSを起動することができます。
何も押さないとXMSドライバのみの設定で起動します。また、F5キーを押すと何も設定されない完全な「素」の状態で起動します。

  0 起動ドライブのルートディレクトリにあるCONFIG.SYSを読み込み、
    その設定で起動を行います。
  1 デバイスドライバを何もインストールしない状態で起動します。
    これはXMSドライバを使えない古い機種(8086やV30を使っているもの)の
    ためのもので、あまりおすすめできません。
  2 80286用XMSドライバをインストールします。
    1Mバイト以上のRAMが搭載された状態のエミュレータであれば、これが
    最も無難な起動オプションだと思われます(デフォルト)。
  3 386用XMSドライバとIDE用CD-ROMドライバをインストールします。
    np21win、np21kaiでCD-ROMを使いたい場合は、このオプションを
    選んでください。
    CD-ROMは Q: ドライブに割り当てられます。
    (公式の「お察し」版np21では、現時点ではうまく動作しません)
  4 386用EMSメモリマネージャを使い、UMBにIDE用CD-ROMドライバを
    インストールします。
    どうしてもEMSメモリが必要な場合や、とにかく基本メモリを
    空けたくてしかたない場合以外、指定する必要はないでしょう。
    (仮想86モードは動作が遅くなるので、速度重視の場合は使わない
    ほうが賢明です)


その他
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「とりあえず自力でインストールしなくてもいいHDイメージ」という程度のコンセプトで作られているため、「実用的」な運用を行うにはいろいろとツール(アプリ)が足りません。
個人的にはテキストエディタとファイラーが最低でも欲しいところです。

DOS用プログラムは基本的に機種依存なので、「PC-98用」や「DOS汎用」と明記されているもの以外は使えません。個別に確認する必要があります。
本家FreeDOS のディストリビューションには多くのアプリケーションが含まれていますが、そのほとんどすべてが IBM PC(の英語モード)専用となっており、PC-98上で利用するためにはかなりの移植作業が要求されます。

(今でも)ベクターには日本製のDOS用ソフトが公開されているので、いろいろ探してみてください。

https://www.vector.co.jp/vpack/filearea/dos/